イギリス放浪記
歴史的建造物の保全が日本に比べて進んでいるヨーロッパ。その中でも特筆して保全件数が多いのがイギリスである。
イギリスには美しい街並みがどの都市にも平然と存在する。
裏路地の風景にすら色気を感じる。日本の雑多な感じの路地裏も悪くないが、こちらの路地裏は日本のそれとは全く異なる空間である。感傷に浸れるのはこちらの空間だろう。
何がこうした空間を形作っているのかを考えてみる。言うまでもなく、背後に控える石積みやブロック積の建物は重要な要素であるが、それだけではない。実は石畳みや、手前に見える侵入防止柵もこの空間の実現に一役買っている。もし柵の色が白だったら、二つの写真見比べてみてほしい。この空間の全てが途端に台無しになってしまう。
良質な屋外空間のデザインを実現するためには、細部にまで気を配らなければならない。だからこそデザインは面白い。だからこそ私は、屋外空間を専門にデザインする職能を日本で確立したいと思っている。